25~30度の気温、十分な湿度、常に入れ替えられる新鮮な空気など、自生地と同じ条件がなければなかなか育たないアガリクスは、栽培にも苦労がつきまといます。もっともいいのは、生産地であるブラジルで栽培することですが、意外にもブラジルのアガリクス栽培の歴史は浅く、まだ10年ほどにしかならないといいます。本来、ブラジルではマッシュルームなど食用キノコの栽培そのものが、ほとんど行われていませんでした。技術もあまり持っていなかったため、アガリクスも、大規模なハウス栽培の農場が建設されるごく最近までは、路地栽培が主流でした。枯れ草を日よけにして、畝で栽培していたのです。
しかし、露地栽培は、森林を焼いたあとに植えつける焼畑農業で行われるため、自然保護に関する世論の高まりもあってやりにくくなりました。露地栽培にすると連作障害が出て、一度栽培すると3~4年は土地を休ませる必要が出てきます。そのために広大な土地が必要になって焼畑が行われていたのですが、虫害に悩まされたり、また収穫率がハウス栽培の半分以下という効率の低さなどの問題がありました。
ブラジルのアガリクス栽培は分業化がされています。コンポスト(菌床)を製造する業者、コンポストを買い入れて栽培する農家、栽培されたアガリクスを買い取って販売・輸出する業者の3つに、大きく分かれています。現在では、有機栽培の認可をとって、コンポスト製造から栽培、乾燥、選別、箱詰め、販売までを一貫して行う農家が増えています。ただ、設備投資に膨大なコストがかかるため、リスクが大きいのが現状です。
それらのアガリクスの8~9割は日本に輸出されていますが、最近では米国や、少量ですがヨーロッパにも輸出されているそうです。日本には、航空便や船便で大量に入るほか、キロ単位で国際郵便を使用して個人輸入している業者も多く、日系人は日本に預金口座を持つことができるため、そういった小口の取引にも柔軟に対応できる環境にあります。